現在、グラフィックボードを活用した複数のアップスケーリング技術があります。これらは超解像度やフレーム生成技術と組み合わせてゲームのFPSを大幅に向上させることができます。ここでは利用環境に分けて紹介します。
ゲーム側の対応で利用できるアップスケーリング
DLSS, FSR, XeSSはゲーム側が対応している必要があります。対応している場合は、グラフィック設定にアップスケーリングの項目があると思うのでそこから選択することで利用できます。
DLSS (Deep Learning Super Sampling)
DLSSは性能を飛躍させるAIグラフィックス技術です。Tensorコアを利用するのでTensorコアが搭載されているGeForce RTXシリーズで利用できます。
DLSSのバージョンによる機能の対応は以下になります。超解像度とDLSS3.5で追加されたレイ再構成は全てのGeForce RTXシリーズで利用できますが、フレーム生成は現在RTX40シリーズでの対応になります。
超解像度とDLAA (All GeForce RTX GPUs) | フレーム生成 (GeForce RTX 40 Series GPUs) | レイ再構成 (All GeForce RTX GPUs) | |
---|---|---|---|
DLSS 3.5 | ✓ | ✓ | ✓ |
DLSS 3 | ✓ | ✓ | ー |
DLSS 2 | ✓ | ー | ー |
- 超解像度 少ないピクセル数でレンダリングを行いAIを使用して鮮明で高解像度の画像を構築することで性能を向上
- DLAA AIベースのアンチエイリアシング技術による画質の向上
- フレーム生成 AIを活用して新しいフレームを生成することでFPSを増加
- レイ再構成 AIを利用して追加のピクセルを生成し画質を強化
対応ゲームやアプリは以下から確認できます。
FSR (FidelityFX Super Resolution)
FSRは、低解像度の入力から高解像度のフレームを生成しパフォーマンスを向上させるオープンソーステクノロジーです。最新のFSR3では、AMD Fluid Motion Frames (AFMF)のフレーム生成技術の組み合わせによりフレームレートを大幅に向上させます。対応グラフィックボードは、AMD Radeon RX 400シリーズ以降とNVIDIA GeForce GTX 10シリーズ以降になります。
対応ゲームは以下から確認できます。
XeSS
XeスーパーサンプリングはインテルのAIで強化されたアップスケーリング・テクノロジーです。Intel Arcで最高の性能を発揮するようですがNVIDIAやAMDのグラフィックボードでも動作します。
対応ゲームはまだ少ないですがIntel Arcはこちらのアップスケーリングが選択肢になると思います。以下から対応ゲームを確認してください。
ドライバベースで利用できるアップスケーリング
ゲーム側で対応がしていない場合やグラフィックボードの要件で利用できない場合に検討するといいアップスケーリングになります。NISとRSRは超解像度技術でAFMFはFSR3のフレーム生成技術をドライバベースで動作するようにしたものです。
NIS (NVIDIA Image Scaling)
NISではアップスケールやシャープネスの調整ができます。対応グラフィックボードは、Maxwell世代 (GTX 750, 750Ti, GTX 900シリーズ)以降になります。
NVIDIAコントロールパネルで有効にしてゲーム側の設定でフルスクリーンモードにして解像度を下げることで機能します。
NVIDIAコントロールパネルの3D設定の管理にあるイメージスケーリングをオンにします。
鮮鋭化では輪郭の調整ができ0%に近いほど滑らかで100%に近いほどシャープになります。鮮鋭化はゲーム中にAlt+F3でリアルタイムで調整可能(GeForce Experienceをインストールしている場合)
オーバーレイ インジケーターを有効にすると、画面の左上に「NIS」のテキストが表示されます。テキストの色が緑の場合は、ゲームのスケーリングとシャープネスを行っています。
RSR (Radeon Super Resolution)
RSRは、FSRテクノロジーと同じアルゴリズムを搭載したドライバレベルのアップスケーリング機能です。FSRがサポートされている場合はFSRを使用することが推奨されています。RSRは、FSRに対応していないゲームで利用し両方のアップスケーリングは同時に使用しないでください。対応グラフィックボードは、Radeon RX 5000シリーズ以降になります。
NISと同じくゲーム側でのフルスクリーンモードの設定とディスプレイのネイティブ解像度よりもゲーム内解像度を低く設定することで自動的にアップスケーリングされます。
AMDソフトウェアを開きグラフィックスタブのRadeon Super Resolutionを有効にします。
AFMF (AMD Fluid Motion Frames)
AMD Software Adrenalin Edition 24.1.1で正式対応となったフレーム生成テクノロジーです。こちらはゲーム側対応のアップスケーリングと組み合わせて利用でき、さらなるフレームレートの向上が期待できます。対応はAMD Radeon™ 700M laptop, RX 6000, and RX 7000 seriesになります。
注意点としてAFMFは、VSYNC(垂直同期)を無効にしたフルスクリーンモードでゲームをプレイする必要があります。また、ゲームエンジン外でFPSを向上させるのでサードパーティ製アプリ(MSIアフターバーナーなど)では計測できません。必要な方はAMDソフトウェアのパフォーマンスタブから計測、表示してください。
AMDソフトウェアを開きグラフィックスタブのAMD Fluid Motion Framesを有効にします。
ブラウザ支援の動画再生アップスケーリング
NVIDIA RTX VSR
Google ChromeおよびMicrosoft Edgeブラウザでのストリーミング動画再生にAIを活用したアップスケーリング機能がGeForce RTXシリーズ利用できます。低解像度のコンテンツを高解像度に変換しビデオの品質を向上させることができ、ローカルにある動画もブラウザ上で再生することで機能が働きました。
また、GeForce Game Ready ドライバー545.84でバージョン1.5にアップデートされました。NVIDIA RTX VSR 1.5では、RTX 20シリーズの対応や動画と同じ解像度で再生した場合でも品質が向上するように改善されました。
NVIDIAコントロールパネルのビデオイメージ設定の調整にあるSuper Resolutionにチェックを入れてください。機能が働いているときはステータスがアクティブになります(すべての動画で機能するわけではない)
その下にハイダイナミックレンジはSDRビデオをHDRへ変換する機能で、モニターがHDR10に対応している場合にドライバ551.23以上で利用できます。
AMD Video Upscaling
AMD Software Adrenalin Edition 24.1.1でビデオ再生画質を向上させる機能が追加されました。AMD Video Upscalingは、Google Chrome, Microsoft Edge, Media Playerなどアプリケーションで利用でき、現在はシングルディスプレイ構成でのみサポートされています。以下の手順で有効にしてください。
AMDソフトウェアを開きグラフィックスタブのRadeon Super Resolutionを有効にします。
お使いのブラウザで「edge://flags」または「chrome://flags」を開きMedia Foundation for ClearをEnabled(有効)にしてください。